Q 財産を次の世代に渡すにはどんな方法があるの?
A 遺言と生前贈与があります。遺言は亡くなった直後に財産が承継されますし、生前贈与は亡くなる前に財産を移すことができます。これらは、本人の意思で財産を渡すことができるので、相続人の納得感もあり比較的揉め事も少なく、相続の手続きも楽になります。
一方、何もしなかった場合には、相続発生後の遺産分割となり、相続人の話し合いにより財産が移ることになります。その際は相続人全員の合意が必要になります。
Q 遺言が必要な場合は?
A 相続人が大勢いる、相続人が海外に居住している、相続人に行方不明者がいる等、そもそも遺産分割の話し合いが困難あるいはできないようなケース。お世話になった人など特定の相続人に多めに財産を残したいといったケース。相続財産の大部分が不動産といったケース。前妻との間に子供がいる、内縁関係であるなどの場合です。
Q 遺言が是非必要と考えられるケースは?
A 特に、子供のいない夫婦は遺言書がないと困ることが目に見えているケースです。
実際に相続が発生した時には、義理の両親や兄弟姉妹と相続の手続きをしなければなりません。兄弟姉妹、甥っ子、姪っ子など相続人が多くなり、しかもお子さんのいらっしゃらない夫婦にとって、それらの相続人とは縁が薄くなりがちで、連絡が取れないといったケースも多く、戸籍を集めたりするにも、相続の手続きが非常に大変になります。
夫婦の想いをしっかりと伝えるためにも積極的に遺言を作ることが勧められます。
Q 遺言書がない場合はどういうデメリットがあるの?
A 遺言書がない場合の相続手続は相続人全員の同意が必要となります。
銀行での預貯金の払い戻しや、法務局での不動産の名義書き換えといった相続手続には、遺産分割協議書に相続人全員が実印を押して印鑑証明を提出することが必要となります。
相続人が疎遠で連絡が取れなかろうが、行方不明であろうが、認知症であろうが(後見人を付けることもあるが)、財産はいらないから関係ないと言っている人でも(家庭裁判所で相続放棄をしない限り)相続人なので、全員の合意が必要になります。
だから遺言書がないと相続手続きが非常に大変になるのです。
Q 遺言書がある場合にはどういうメリットがるの?
A 遺言書がある場合には相続手続は原則として遺言の内容に従います。遺言書に遺言執行者を書くことによって、その(選任された)遺言執行者の実印と印鑑証明、署名だけで金融機関等での相続手続きができ、相続人全員の印鑑証明等は不要になりますので、相続の手続きがスムーズに進みます。
Q 遺言執行者って誰がなるの?
A 相続人の中で財産をもらう人がなるケースもあるし、遺言の作成や相談に関わった士業などの専門家に依頼するケースもあります。ただし、遺言書作成について専門家に相談されていない場合には遺言執行者が選任されていないケースが多いです。